町内会と管理組合

ブログのコメントに次のような問い合わせを頂きました。

『教えてください。
町内会を内包するマンション管理規約の削除議案が特別議決の為139世帯*3/4=105のうち議案賛成者102票で反対者31票で否決になりました。現行規約は、理事長が町内会長を兼務、各役員がそれぞれ町内会の役務を強制的にさせられるのです。そして組合員全世帯が町内会員となるのです。管理費から支出の6割弱が町内会関連に支払われています。町内会派の35世帯が、慰労会を強要したり管理費を湯水のように使う事に我慢できません。
良い解決方法があればお教え下さい。』

多くの方から同様のお問い合わせがある内容ですので、ここに掲載します。

町会費の運用については、各地で批判が多いようで、町会の会計を明朗化するなど課題も多いと聞いています。
自治会費の強制徴収については「平成17年4月26日最高裁判決」で違憲と判断されています。
自治会については「権利能力のない社団」とされ、加入は「任意」とされています。

お問い合わせの件については、理事会に再度、上程され協議された方がいいと思います。

ただし、マンションが建設される時点で、周辺住民との協議書が交わされているケースもあって、無視もできない場合もあるようです。
あくまで任意とはいえ、周辺とのコミュニティ形成を良好に維持する上で、住民として本来考えておくべきものではあります。
特に大地震など大きな災害が発生して避難生活を余儀なくされる場合、行政は町会を通じて細かな支援情報を流します。
マンションが情報孤立するケースも報告されています。

管理組合の町内会派側の立場にたって考えると、町会の役員が高齢化し、会費をボランティアで集金する現実には厳しいものがあります。
町会の実態は別として、町会を維持するためには、会費を明朗化するとともに、標準規約27条にあるように「管理費」処理をどのように行うかが重要なポイントになり、皆さん苦労されているようです。

下記に標準管理規約(単棟型)の抜粋を上げます。
コメント②の赤字部がポイントです。

以下、標準管理規約第27条に対する国土交通省のコメント(抜粋)

①管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は区分所有者全員の利益のために活動することにかんがみ、適正な水準に設定することとする。

②コミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するものであり、マンションの適正管理を主体的に実施する管理組合にとって、必要な業務である。管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュニティ形成のために実施する催事の開催費用等居住者間のコミュニティ形成や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュニティにも配慮した管理組合活動である。
他方、各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。

追記:普通決議と特別決議について

2012.11.27追記(3. 特別決議の人数)いたしました。
Q.
築後30年、総戸数100戸のマンションで初めて管理組合の理事に任命され、慣れない区分所有法に戸惑っております。
ご教示、よろしくお願いします。
マンション内児童公園の遊具等の老朽化が激しく危険な状態です。子供も少なくなっており、この際遊具を撤去して、マンションの憩いの場として整備したいと思っております。
1. この場合の、管理組合の総会手続きについて、理事会では普通決議で良いのか特別決議が必要なのかで意見が分かれております。どちらが必要なのでしょうか?
2. また、区分所有法には決議に関しての重要度の規定があるようですが、その重要度の判断はどのようにすればいいのでしょうか?
3. 当マンションは、単独で2戸所有されている区分所有者が2名、3戸所有者が1名居ます。このような場合、決議の人数はどうのように考えたらいいのでしょうか?

A.
1. 普通決議か特別決議か
『普通決議が特別決議か』ということですが,ご質問の場合は共用部分の変更にあたりますので,特別決議が必要です。
区分所有法第17条(共用部分の変更)第1項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は規約により過半数まで減ずることができる。」とあります。ご質問は,「マンション内の敷地にある児童公園の遊具を撤去し、マンションの憩いの場として整備したい」ということですので,共用部分の変更にあたります。

2. 決議に関しての重要度
二つ目のご質問の,『決議に関しての重要度の規定とその判断について』ですが,ご質問の意味は,普通決議,特別決議のことではないかと思います。
総会の決議には,普通決議と特別決議とがあり、区分所有法では、原則として、普通決議は区分所有者及び議決権の過半数(半数+1以上)で決しますが、特別決議は区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数で決します。

① 普通決議
区分所有法第39条(議事)第1項に「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。」とあり,法令上は、特別決議に依るべき事項以外は全て普通決議となります。
ただし,法文に「この法律又は規約に別段の定めがない限り」とされていることを受けて、一般的な管理規約においては「総会(集会)の会議は議決権の半数以上の出席で,出席者の過半数で決する。」と定めていることが多いので,貴マンションの管理規約を確認してください。
一般的な管理規約に則ると,貴マンションの場合、半数(100戸÷2=50戸)以上の出席で,その過半数(出席が50戸であれば50戸÷2+1戸=26戸)の賛成によって普通決議が決します。なお,出席組合員は書面による議決権行使及び委任状出席を含みます。
② 特別決議
特に重要な事項については特別決議事項となり,次のようなものがあります。
・ 共用部分の変更(区分所有法第17条第1項)
・ 共用に属する敷地または附属施設の変更(区分所有法第21条)
・ 管理規約の制定・改廃(区分所有法第31条)
・ 管理組合の法人化(区分所有法第47条第1項)
・ 管理組合法人の解散(区分所有法第55条)
・ 専有部分の使用禁止請求(区分所有法第58条)
・ 占有者に対する引渡し請求(区分所有法第60条第2項)
・ 建物の一部が滅失した場合の共用部分の復旧(区分所有法第61条第5項)
特別決議は上記法文に「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」とあります。(注:4分の3以上については出席者ではなく、組合員総数の4分の3以上です)
③ 建替え決議
これも特別決議のひとつではありますが,定数が《②特別決議》とは異なりますので,あえて別枠としました。建替え決議の場合は「区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数」となっています。(区分所有法第62条)

3. 特別決議の人数
最後に三つ目の質問ですが,貴マンションの特別決議の場合,2戸を所有しておられる方が2名,3戸を所有しておられる方が1名ということですので,
① 区分所有者:100戸の戸数に対し,区分所有者数としては96名おられることになります。
               区分所有者数についてご質問いただきましたが、上記のとおり、図解いたします。(2012.11.27追記)
その4分の3以上ですから,96名×3/4=72名となり,72名以上の賛成が必要となります。
② 議決権  :貴マンションの議決権数は100戸です。その4分の3以上ですから,100戸×3/4=75戸となり,75戸以上の賛成が必要となります。
区分所有法では,区分所有者要件と議決権要件のどちらも満足させないといけないので,区分所有者72名以上と議決権75戸以上の賛成が必要となります。
1名で3戸所有しておられる方は,区分所有者数としては1名,議決権としては3戸持っておられることになります。
注意しなければならないこととして,区分所有者の定数は規約により過半数(96名÷2+1名=49名)まで減ずることができますが,議決権の定数については減ずることはできません。また,その管理規約の改正も特別決議事項となりますので,ご注意下さい。

いずれの決議も、適切な手続きを踏まれることが大切です。マンション管理士・管理業務主任者や弁護士・司法書士等と相談しながら進められるとよいでしょう。

なお、「遊具の撤去」については、新築当時の条例や要綱等に依って設置された可能性がありますので、念のために建築確認図書等の内容を確認してください。また、市役所等の開発担当部署に問い合わせてみてもよいでしょう。

なぜ無料相談会なのか

よく、こう訊かれます。

「これだけの専門家が居てくれて、なぜ、無料でここまで相談に乗ってくれるのですか?」

私達Agorasの仕事には、ご依頼くださる方々からご信頼いただくことが基本です。

そしてもぅひとつ、私達Agorasの仕事は、ご依頼くださる方々に役立つものでなければなりません。

このことは、相談者にしても私たちにしても、じっくり考えなければ判断できません。そのための機会として、無料相談会をご利用いただきたいと考えています。

相談会をご利用いただく方は様々です。

一回のご相談で納得される方も居られます。この場合、納得のお手伝いが出来たことで、私達も納得できます。

でも多くの相談者は、複雑で難解な問題を抱えておられ、何度か相談会に通っていただきます。

この「問題」は、構造欠陥や漏水などに起因する不安だけでなく、建物管理やメンテナンスについての疑問も含まれます。いずれも一朝一夕に解決できるようなものではなく、時間をかけてじっくり取り組まなければ解決には近づけません。そして多くの場合、その過程で専門家の意見を必要とします。

私達Agorasは、問題解決のために、しっかり寄り添ってお手伝い出来る団体です。

この「お手伝い」には、私達の技術・経験・見識のすべてを注ぎ込みます。

当たり前のことですが、報酬を頂戴しなければ出来ることではありません。でも、一面識で契約することには、お互いに高いリスクがあります。

だから、無料相談会をご利用いただきたいのです。

相談会で、私達の能力や可能性の一片に触れて頂けるでしょう。

私達Agorasが、ご信頼いただくに値する団体であることを感じていただきたいのです。

エントランスの浸水事故

Q.
2006年3月竣工のマンションで、2007年7月(降雨量≒15㎜/分)、2008年8月(降雨量≒19㎜/分)に、2年連続して、1階エントランスホ-ル・ロビ-に集中的な浸水事故が発生しました。
両年共に、1階ロビ-外部テラスの雨水会所から、雨水が吹き上げるように溢れだし、瞬く間に出入り口サッシ下からホ-ル・ロビ-内に流入して、多大な浸水事故となりました。

 事業主・工事施工業者と発生原因及び対策について協議しましたが、『この浸水事故は、想定外の大降雨による下水道からの下水が逆流したもので、事業主・施工業者には責任は無い』との回答でした。
 管轄の市当局では、『この地区の下水道は整備されており、少々の雨による下水の逆流や浸水は発生しない。』『事業主や施工業者から下水道管が原因で下水が逆流したのではないかと問い合わせがあったが、逆流しないと回答した。』とのお話でした。

 その後も、度々事業主と解決について協議していますが、『設計・施工に瑕疵はなく、自然災害である。』との見解を示され埒が開きません。
原因は、そもそもどういうことが考えられるのでしょうか。

A.
浸水事故の場合、「状況の把握と原因の究明」が重要です。

① 浸水範囲、浸水経路の確認
② 雨水排水設計の検証(雨水排水流域の下水管渠流量計算の検証)
③ 雨水排水設計図と竣工図面の検証(竣工図が不備な場合が多い)
④ 現場での雨水排水系統毎の検証(管径、管底、管勾配、排水管距離等の確認)等々について様々な角度から検証しなければなりません。これらの作業は専門家でなくては不可能です。

上記①~④を踏まえて、次のような作業に移ります。
⑤ 改修方法の策定(改修設計、改修金額、改修期間等の立案)
⑥ 改修金額の持ち分(配分:瑕疵担保期間との絡み)

そこで、管理会社や事業主・施工業者との接触から始めることになりますが、管理会社が、日頃様々な事象について良好な相談相手になってくれているのであれば、信頼して調査を委ねられてもいいでしょう。
しかし、技術力が不足していたり慣れていない場合には、事業主や施工業者との交渉に期待した程の効果が得られず、満足な解決に至らなかったケ-スも良く耳にします。

技術的なことは、第三者の専門家である「建築士」や「設備専門家」に相談を持ちかけることをお奨めします。

また、損害賠償請求に発展するような事象である場合は、「弁護士」に介在して貰うことも検討して下さい。
事象により、解決に時間が掛かることがあります。根気よく対応してください。

マンション大規模修繕工事のコンサルタントの選定について

Q.
マンションの大規模修繕工事にあたり、設計施工方式でなく設計監理コンサルタントを選定してから工事業者を入札して決める方式で進めたいのですが、コンサルタントの選定の方法はどのようにすればよいのでしょうか?

A.
コンサルタント担当者には、是非とも一級建築士有資格者を選定してください。

マンションの大規模修繕工事には資格が不要な場合が多いので、コンサルタント業者のなかには設計監理業務に無資格の担当者をつける場合があります。塗装替えや防水改修などの修繕工事だけであれば、一級建築士でなくとも経験を積んでいることで問題はありませんが、例えば外壁にクラックがある場合、それを問題視すべきかどうかの判断は、設計監理を行なうための必要資格である一級建築士にご相談されることをお勧めします。
コンサルタント業務は、建築設計事務所やコンサルタント会社のほか、種々な組織が行っていますが、建築設計事務所の中には大規模修繕工事のコンサルタント業務を行なわない事務所がありますので、依頼する前に確認して下さい。
最近は、インターネットや各種新聞、雑誌などから数多くの情報が得られます。自治体や各種団体のホームページに広告や案内が出ていますのでそこから問い合わせする方法や、無料相談会などを開催している団体もありますので参加して直接質問してみることも有効な方法です。

どのような作業をしてもらえるか、費用内容等について充分納得できる説明を受けましょう。プレゼンテーションテクニックに惑わされないように注意して、コンサルタントを選定して下さい。
そしてその作業を確実に履行してもらうためにも、業務委託契約を交わして下さい。

ブーンという音が響く

Q.
リフォームされた中古マンションを購入。入居して判ったのですがブーンという感じの音が響きます。原因は何でしょう?
販売会社に問い合わせてもはっきりとした答えはありません。

A.
「ブーン」という音は、振動音かもしれません。ポンプ室・電気室・エレベーター機械室等のモーターや空調室外機の振動が建物に伝わって生じている可能性があります。
音が発生する時間帯や曜日が、原因解明の手掛かりになるかもしれません。
例えば、昼間やウィークディに限られるのであれば建物内の店舗や事務所の空調機の可能性曜日に関係なく夜間に多く感じられるのであればポンプやEVの機械音である可能性が考えられます。
両隣や上下の住戸の方に尋ねてみて、もしあなたのお住まいに限定されるのであれば、隣か上下で接している空間が疑われますので、建物平面図を見るなどして確認してください。
古いマンションの場合、EV機械室が、直下や隣にある可能性があります。(最近ではほとんどのEVが機械室レスになっています) 実際に目で見て問題となる機械類がないかを確認するのも方法のひとつです。
原因の究明には、管理組合に協力してもらうといいでしょう。

もし、通常生活の受忍限度を超える異音であれば瑕疵に該当する可能性がありますが、一概には言えませんので、弁護士等の意見を聞いて見られることをお勧めします。
「販売会社」に問い合わせておられるということですが、ディベロッパーや仲介業者には判断できない可能性が高いので、建築士の意見も聞いて見られるとよいでしょう。