住まいの相談:長屋をリフォームするつもりが建て替えに!(その3)

「その2」からのつづき

リフォームと偽っているから建築確認は無いが、一応の平面・立面・断面程度はあった。工事中2回しか現場を見ていなかったが、それでも写真もあった。

件の住宅は大阪市内の、決していぃ地盤とはいえない場所にあり、間口は3m。在来工法の木造3階建てで、3階のまだ上に、ゆうに1層分は有りそうな小屋裏物置があり、棟の高さは10mを超えている。にもかかわらず1階の道路面は全面開口でガレージになっている。勿論木質ラーメンなんぞではない。

えぇっ! なんだ、こりゃぁ! 揺れて当然やん! めちゃくちゃやん! こんな家を建てといて、追加工事費請求の訴訟を提起するなんて、図々しいにも程があるぞ!

早速現場に行ってみた。3階でご主人が歩いただけで、2階に居る私が揺れた。震災を思い出し、足がすくんだ。相当に酷い。地震のみならず強風で捩れる可能性がある。すぐに反訴を提起した。

この事件は、紆余曲折があったものの既に和解が成立した。相談者にとっては大喜びできるような内容ではなかったが、一応の解決に到ったといえる。

【後日談】

別のご夫婦が相談にこられた。住宅を新築したが「こんなもんでしょうか?」という疑問。つまり、どうも納得できないが、今の木造住宅はこんなものだろうかというつかみどころの無い不安である。

これも長屋の建替え。間口は思いっきり狭い。最初はリフォームの話から始まったが、結局新築になった。でもここは3階建てではない。というのは、元の長屋が平屋(端家)だったから、2階建てにしただけで充分広くなったのである。どこかで聞いたような話だと思いつつ、どんな不安なのか、時間をかけて聞いてみた。

ご夫婦が感じておられる最大の問題点は、雨音。隣家側に空気ヌキとして窓を設けた。その窓の直上に付け庇があり、雨が降るとうるさいのだそうだ。金属製の庇だったら、多少の音は我慢しなきゃいけないんじゃないの、と思いつつ「業者に文句を言いましたか?」って尋ねたら、「庇にね、ウレタンを貼ってくれたんです。」・・・ん?、ウレタン? 「ウレタン防水のこと?」「あれをウレタン防水というんでしょうか?」「いやいや、聞いてるんですよ。シートか何かですか?」「ウレタンですよ。クッションのような」・・・えぇっ?!まさか!

持参の写真を見たら、そうそう、確かにこれはウレタン! 庇のサイズに合わせて四角く切ったウレタンボードを貼ってある。「このウレタンはね、最近貼ってくれたんです。最初はね、人工芝を貼ってくれたんですが。」・・・ん?・・・「人工芝にもいろいろあるんでしょうが、半年ほどで剥げてきましてね、文句を言うたらウレタンに変えてくれたんです。」

その写真もあった。庇の上面が、綺麗な緑色。へっ? 思わず笑ってしまいそうになった。

「この庇をね、もぅ少し上等のに替えたら音が気にならなくなるんでしょうか?」・・・そういう問題じゃないんじゃない? 「これは建築屋さんの発想じゃないですよね。工事業者はちゃんとした会社ですか?」「近所の奥さんから聞いたんです。いいところがあるって」「支障なければ聞かせてください。なんていう会社ですか?」「・・・K社っていいます。」

アッチャァ! またかい! 性懲りも無くまたやりよった!

住まいの相談:長屋をリフォームするつもりが建て替えに!(その2)

「その1」からのつづき

建て替え前の住まいは4軒長屋の2軒目だったが、隣家が建て替えたため端家になった。息子が同居してくれることになり、リフォームを考えていたところ、妻の姉が「いぃ業者がある」とどこかで聞いてきた。K社。

そのK社の話を聞いてみたら、「リフォームしはっても、この家ちょっと狭いですよねぇ。増築しはったらどうですか。」と言う。「こんな古い家で、しかも長屋やのに、そんなんできるのん・・・?」というと「できますよ。」とあっさり言われ、その気になってしまった。その後「増築しはるんやったら、どうせなら建て替えはってもえぇんちゃいます? ちょっと足すだけで出来まっせ。」「一体どれくらいかかるん?」と訊いたら、増築と新築で200万円程しか違わない。それなら、息子のためを考えて、建て替えてもいぃか、という気になった。

すると「お宅の敷地は前の道路が細いから、新築やて言うたら土地が狭くなる。リフォームと言うことにしときまひょ。そしたら銀行ローンも付きやすいんですわ。それに登記もせんでえぇから何かと安上がりでっせ。」銀行に確認したら、概ねその通りだということがわかり、それではと『Go!』

あれよあれよと言うまもなく工事が進み、あっという間に完成。工事中に現場を訪れたのはたったの2回。「最近の工事はエライ速いんやなぁ!」

引渡しの日に2階へ上がったら、DKの壁に四角いでっぱりがある。「これ何?」と訊くと「これはねぇ、長屋の名残でんねん。これを残さんと新築になってしまいますねん。」と言われ、「ふぅん、いろいろテクニックがあるんや」 なんとなく納得して引渡しを受け、請負代金の残金を支払った。

夫が住み始めてすぐ、近くの賃貸マンションに住んでいた息子も引っ越してきた。

「快適やん」とご機嫌でその夜は眠りに付いたが、翌朝、息子が言った。「オヤジ、この家おかしいことない?」 夫が「何処がおかしいねん!」と訊くと、「オヤジ、夜中にトイレに行ったやろ。」「なんで知ってんのん?」「えらい揺れたから眼覚めたんや」「お前は今までマンション暮らしが長かったから、そない思うんや。木造住宅はこんなもんやで。それにこの家は3階建てにしたからなぁ、ちょっとは揺れるかも知れへんけど」。息子は朝早く出かけて夜遅くにしか帰らない。二人とも寝室は3階にあるが、夫は朝早くからジョギングに出かけ、その間に息子が起きて出かけてしまう。夫が眠りについてからしか息子は帰らない。こんな調子で数日が過ぎた。

息子が久しぶりの休日だと言い、朝遅くまで寝ている。夫がジョギングから帰って、2階で朝食を採っていた。グラッと来た。びっくりしてDKを飛び出し、3階にむかって「おぉいっ! 地震や!」と声をかけたら、息子は「オヤジ、何言うてんのん。この家揺れるて言うてたやん」と切り替えされ、「阿呆ぬかせ。お前寝惚けとる。」とTVに見入る。地震速報を待った。が、テロップは出ない。・・・?・・・ぞぉ~っとした。

そんな訳で、手元にある資料を洗いざらい持って相談にこられたという次第。

・・・つづく

住まいの相談:長屋をリフォームするつもりが建て替えに!(その1)

「家を建てたんですが、工務店から凄い追加費用を請求されて困ってるんです」と、素敵な奥様からのご相談。

工務店からの請求額は建築工事費の1割程度。しかも壁面収納などの家具代だということで、それなら一概に高いとか吹っかけられたとも云えない。メーカーの定価に近い請求ではあるけれど、それが『悪い』とも云えないねぇ。

次に相談にこられたら、工務店が請負代金請求の訴訟を提起してしまったとのこと。「私、被告になってしまいました!」その工務店を選んだのが奥様だったから、少なからぬ責任を感じておられる。すすり泣き。涙。前回には「値交渉するしかないですよね。頑張って下さい。」とアドヴァイスしたが、全く交渉していなかった様子。「どうして?」と訊いたら、付いてきていたご主人がやおら口を開いた。曰く「今請求されている追加費用は払ってもいいんですが、既に支払ってしまった工事代金がね、どぅも納得できてないんですよ。」つまり、追加工事である家具等は、工務店と一緒にショウルームへ行って自分で選んだものだから、値引は少ないかもしれないが支払う用意はある。しかし、建築工事そのものが満足できる内容ではないのではないかという疑念を抱いている、というもの。「どんな不具合があるのですか?」と訊くと、「揺れるんです。」 「奥様はそんなこと仰ってませんでしたが」というと「女房は一緒に住んでないんです。息子と私の二人で住んでるんです」と云われ、そっか。

腰を据えてじっくり聞いてみることにした。・・・つづく。