竣工図書(その2)

あるマンションで、最上階の漏水被害がひどくて調査した。

管理事務所で、分厚い竣工図を見せてもらったら、これまたいぃ加減な竣工図書。
意匠図と構造図が違う。設備図には、肝心のことが書いてない。
最上階の漏水事故だから、屋根を重点的にチェックしないといけないのだけれど、表面を漫然と見たってわかるはずが無い。

ゼネコンは、漏水事故があれば防水業者の責任にしたがる。
そりゃそうですよ。新築時には10年保障させてるんだもの。
でもね、
防水層に穴が開いてたとしても、屋根スラブConに穴が開いてなければ、雨はスラブの上に溜まるだけで室内には漏れません。
だから、「漏水」にはならないのです。実際には、防水層が水ぶくれのように膨らんで、チャプチャプするだけ。
そのときには、勿論防水業者の責任として補修するのです。
実際このマンションは、我々が関与するまでに数回防水の補修をしていて、それでも改善されていない。
だから、防水以外の要素をチェックしないといけないのです。
室内に雨漏りがあれば、多くの場合は屋根に降った雨がどこかの穴から室内に入っているのです。
それで
我々としては、どこに穴が空いているのか推測したいから、竣工図書を見たい。
ところが、竣工図書がいぃ加減だと、目見当のつけようが無いのですよ。

このマンションは大会社の設計施工で、そのゼネコンは逃げようとしないで「調査します」と言ってくれてるからいいけれど。

ちょっと専門的なことを書いておくと、
屋根面には当然太陽が照りつけるわけで、屋根スラブに熱変形が生じます。
そのスラブに配管などが打ち込まれていたら、局部的に熱抵抗が変化しますからクラックを生じやすいのです。
ほかにも
屋根スラブの何かを固定するためのビスを打つことがあります。
不幸にしてこのビスが、配管上部を直撃していたら、やっはりそこからクラックが生じやすい。
だから、打ち込み配管がどこに内臓されているかは、図面で検討しないといけないのです。

もし屋根スラブにクラックがあれば、仮に挙動追随性のある防水層だったとしても、防水層だけで頑張って漏水させないっつうのは過酷です。
ならば、根本的な改修も視野に入れる必要があるわけで、
あれもこれもそれも、竣工図書がキーポイントになるのです。

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